2005年12月25日

サトウキビの収穫が始まりました!

サトウキビの花が咲き始めると、冬を告げると同時に、
サトウキビの収穫シーズンの始まりでもあります。
キビ収穫1.jpg
この時期から3月まで、
観光客の方がレンタカーを運転していると、
道路に“ヘビ”のようなものが落ちているのを
見たことがあると思います。

これはハブではなくて、
サトウキビを運搬中のトラックから落ちたキビなんですね。

キビ収穫2.jpg
サトウキビ
サトウキビの正式名称は甘蔗(「かんしゃ」、俗には「かんしょ」)
と言います。

トウモロコシに似たイネ科の多年性植物で、
高温多湿を好み、年間平均気温が20度以上の土地でよく育ちます。

沖縄本島の那覇市の平均気温は24度ですから、
沖縄は条件にかなっている訳です。

東南アジアのニューギニアが原産で、
インドを経て世界に広まったと伝えられています。

世界最大の生産国はブラジルで、
その他熱帯、亜熱帯地域で栽培されています。

サトウキビというと、開発途上国や熱帯の国々で
生産されているように思いますが、日本でも生産されているのです。

日本には奈良時代、鑑真が大陸からその製法を伝えたと言われ、
17世紀から四国や紀伊半島など温暖な地域で栽培が始まりました。

しかし開国によるイギリス資本の流入でそのほとんどは駆逐され、
現在では沖縄・鹿児島で栽培されています。

なお、砂糖の主要な原料としては、
他に冷涼な地域で育つ「てん菜」があり、
これは北海道で栽培されています。

キビ収穫3.jpg
「分蜜糖」と「含蜜糖」
・ サトウキビから作られる砂糖は「甘蔗糖」と呼ばれ、
  「分蜜糖」と「含蜜糖」の2種類があります。
  「分蜜糖」は製糖の最後の段階で「(廃)糖蜜」を分離したもので
  黄色〜茶褐色をしていて、
  白糖やグラニュー糖など「精製糖」の「原料糖(粗糖)」
  として使われます。
  沖縄の製糖工場で加工された>「分蜜糖」を
  本土の精製糖工場に送って「砂糖」になります。

・ 「含蜜糖」はその名の通り糖蜜を分離させません。
  これは「黒糖」と言った方が分かりやすいでしょう。

・  沖縄の製糖業は大規模化に伴ない
   「分蜜糖」の製造が主流となっています。

・ 「含蜜糖(=黒糖)」は主に規模の小さい離島で生産されており、
  沖縄で作られる甘蔗糖製造量の7%程度に過ぎません。


キビの植付け
キビの植付けには
・「夏植え」
・「春植え」
・「株出し」
の3種類があります。

「夏植え」、「春植え」は“挿し木植え”という方法で、
キビの枝を挿すことで栽培します。

「夏植え」は1年半、「春植え」は1年かけて育てて、
いずれも春先に収穫します。

「株出し」は収穫の後の株から発芽させ育てる方法です。

キビ収穫4.jpg
収穫方法
キビは気温が低下することで、
成長が緩やかになり茎中の糖分が増加します。

キビ収穫は毎年12月、製糖工場の操業開始に合わせて始まり、
操業の終わる翌3月下旬頃まで続きます。

豊見城市の翔南製糖では、
来年の3月17・18日頃まで稼動するようです。

刈り取った後放置しておくと、糖分が変化して品質が低下するので、
製糖工場の操業状態に合わせて、
収穫後なるべく早く製糖できるように計画的に収穫します。

大規模農場以外では、人力による刈入れが行われています。

「倒し鍬(すき)」でキビの根元から刈り倒し、
「脱葉鎌」で梢頭部(糖度の低いキビの頂上の部分)を切りとり、
さらに葉や根など茎以外の全て取り除き、茎を束ねて搬出します。

「ハーベスタ」という機械導入は
沖縄の農家の経営規模や農地面積が小さく、
また収穫時期に雨が多いことから、なかなか導入が困難で、
いまだに人力に頼らざるを得ないのです。

また機械収穫だと、梢頭部をきちんと取り除けず、
精糖の品質が下がるという技術的な側面での難点もあります。

稍南製糖.jpg
搬入
製糖工場に搬入されたサトウキビは、
「品質検査」と「重量測定」が行われます。

品質の良し悪しは、
サトウキビを搾った汁(搾汁液)の中からとれる砂糖の割合や
製造のし易さで決まります。

具体的な調査項目は
・ ブリックス
・ 糖度(13〜14度)
・ 還元糖分(砂糖が分解された成分。少ない方が良い)
・ 繊維分(13%程度。低い方が良い)
です。


「ブリックス」と「糖度」
「ブリックス」は搾汁液の中に溶けていて、
乾燥させると固まる物質(可溶性固形分)の割合を指します。

糖類の他に灰分やカルシウム等の栄養成分も含まれています。

サトウキビのブリックスは20%程度です(ミカンは10%程度)。

キビのブリックスの80〜90%が砂糖分で、
この砂糖分の割合が「糖度」です。


「含蜜糖」の製糖過程
さとうきびは品質検査の後細かく砕かれます。

圧搾機で絞りとられて
・「圧搾汁」と
「バガス」
に分離されます。

「バガス」とはサトウキビの絞りかすを指し、
サトウキビの重量の約25%に相当します。

製糖工場のボイラーの燃料として燃やして使われ、
製糖工場で必要な電力を十分賄えるそうですが、
「バガス」からパルプが作られたり、
新燃料を創り出す研究開発が行われたり、
農業の肥料としても微生物を活性化させる“糖蜜”も含んでいますから、
最高の肥料にもなるので、
燃やしてしまうのはもったいないですよね。

「圧搾汁」はわずかな石灰を加えて加熱することで
余分な成分が沈殿分離します。

ここで得られた「上澄み液」に、
沈殿した成分の「濾過液」を加えたものを蒸気で減圧することによって
低温で煮詰めて濃縮(最後は常圧・高温)し、
出来あがった過飽和状態の溶液を攪拌しながら冷却することで結晶化して、
黒糖が出来あがるのです。

文章では難しそうですけど、やってみると単純作業なのですが。

黒糖は30kgずつ箱詰めされ、品質検査を経て包装、出荷されます。

こうして出来あがった黒糖は
もとのキビの重量の約15%程度(=「歩留」)となります。

沈殿成分で濾過後に残ったものは「フィルターケーキ」と呼ばれて、
発酵堆肥にしてサトウキビ畑に戻されます。

製糖工場の煙突からは甘い香りが漂い、
蒸気の「ボ〜ッ」という音が鳴り響きます。

稍南製糖2.jpg
沖縄農家の7割、沖縄の耕作地の5割でキビ生産をしている
さとうきび産業をめぐっては、
政府・農水省が昨年
「砂糖及び甘味資源作物政策の基本方針」
を発表しました。

最低生産者価格制度を廃止し
「市場の需給事情を反映した取引価格が形成される制度に移行する」
ことを打ち出したのです。

同時に国産糖の製造業者への政策支援の前提として、
事業者ごとにコスト削減目標の設定、
成果の検証システムを求めているのですが、
キビ価格の買上価格が安すぎて(=海外の砂糖が安すぎるから)
キビ生産農家は、大規模生産者以外は、
大きな採算割れにあえいでいるのが実情なのです。

沖縄県内では、サトウキビを栽培している農家数は約1万8千戸で、
全農家数の約7割を占めています。

栽培面積は約2万ヘクタールで全耕地面積の約5割を占めるなど、
沖縄農業の主役であり続けています。


沖縄本島の製糖工場は2工場、離島に15工場
沖縄県内には製糖工場は17工場
(ざらめ糖などの原料をつくる分蜜糖工場が10工場、
 黒砂糖をつくる含蜜糖工場が7工場)
あり、
沖縄本島の2工場以外の15工場は離島に立地しています。

製糖会ミで順番待ちのトラック1.jpg
サトウキビの抱える問題
沖縄の農業を支える基幹作物として栽培されてきたサトウキビも、
近年では厳しい状況に立たされています。

政府は砂糖の自給率維持(現在3割)と価格安定のため、
「砂糖の価格安定等に関する法律(糖安法)」

「甘味資源特別措置法」
によって保護し、
国産品に対しては価格支持、輸入品に対しては
関税をかけて価格を調整してきました。

しかし、農産物の貿易自由化の流れ
(1993年のガット・ウルグアイラウンド合意など)により
輸入粗糖(砂糖の原料)の関税は
1キロあたり1994年で41円、1997年には20円、
現在は10円と大幅に引下げられています。

さらに1999年、
「甘味資源に関する新たな政策大綱」
が政府決定され、
粗糖については市場原理に基づく入札制度が導入されることになり
、また価格引下げを目指して合理化・低コスト化を要求されているのです。

製糖工場で順番待ちのトラック2.jpg
キビ価格
サトウキビ買上代として農家に支払われる金額は
「甘味資源特別措置法」
に基づいて政府により毎年決められます。

沖縄「復帰」以降、価格は品質にかかわらず一律であり、
また少しずつ上昇してきましたが、
1984年以降は据置き、
1989年以降は引下げられる年も出てきました。

また、1994年以降はキビの糖度によって価格差をつける
「品質取引」が導入されました。

現在の農家手取り価格は、
標準的な品質の場合1トンあたり2万470円となっています。

1kg当たり20.5円です。

さとうきびを1トン生産するのには、
約35坪の農地が必要になります。
35坪×3.30579u=115.7u

ヒューザーの販売していた「使い捨て殺人マンション」の
1部屋が「100u」ですから、
だいたいこの広さをイメージして戴けたら分かりやすいと思います

1トン当たり2万470円を35坪で生産しますから、
2万470円÷35坪=1坪当たり585円の生産性しかなく、
これでは生産者は食べてゆけません。

仮に沖縄の平均的な農家の農地3,000坪でサトウキビを生産しても、
3,000坪×1坪当たり585円=175万5千円
でしかないのですから。

製糖工場で順番を待つトラック3.jpg
砂糖の価格
砂糖の原料として使われる「分蜜糖」も
「砂糖の価格安定等に関する法律(糖安法)」
により、
政府の決めた価格で農畜産業振興事業団によって、
製糖工場から買い上げられます。

1999年の沖縄産分蜜糖はトン当たり26万2,605円で、
近年引下げられてきていますが、
それでも外国産のものに比べて7倍以上もの価格差となっています。

この価格差は輸入品に関税と共にかけられる調整金を
運用することで補われています。

「含蜜糖(=黒糖)」は糖安法の対象外で自由競争下にあります。

「沖縄振興開発特別措置法」により
、製造コストと販売価格の差額が
「価格差補給金」として補償されています。

含蜜糖工場が離島に集中
(波照間の他、伊平屋島、粟国島、多良間島、
 小浜島、西表島、与那国島の7工場)しているため、
離島経済の振興の意味合いで補償金が出されていて
、毎年約11億円が国・県から支払われていますが、
これも先々「撤廃」の方向で検討されているようです。

山積みのキビ.jpg
労働力不足とキビ離れ
1970年代に入った頃からキビ栽培は
高齢化・過疎化によって労働力が不足し始めました。

一方で1985年以降きび価格の据置き、値下げにより
相対的に収益性や賃金が低下したことで、
さらにキビ離れが進み、
若者が後を継がずに高齢化が進んだり、
肉牛や花卉、野菜などより高収益の農業に転換される畑も出てきました。

その結果製糖工場では、
原料となるキビの不足により経営が厳しくなっています。

沖縄本島では製糖会社の統廃合が進み現在では2社体制ですが、
なお経営は悪化、赤字を抱えている状況です。

労働力不足への対策としては、
株出しの増加により植付の労働力を減らすという方法がとられています。

しかし地力の低下などの問題もあり、根本的な解決策ではありません。

そして何よりもキビ栽培にかかる労働力の半分は収穫作業が占めています。

機械化は1970年代より試みられ、一部で導入されていますが、
コストと品質の面で困難を伴うためなかなか普及していません。

沖縄本島では法人化による大規模化・機械化の試みが始まりました。

「省力化・低コスト化」と「生産性のある買上価格」は
現在のキビ産業の最大の課題となっているのです。

posted by RIU at 12:36| 沖縄 ☁| Comment(0) | TrackBack(1) | 沖縄といえば「行事」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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