2007年05月17日

バナナの“追熟”C

“追熟”という特性があるバナナなどの果実を
成熟した状態で収穫や出荷しようとすると、
これを商業的にコントロールするのは困難ですが、
“追熟”する前の段階で収穫したものは保存性に富むことで、
この段階で収穫すれば長距離輸送が可能なわけです。

そのため、フィリピンやエクアドル、台湾などの生産現場では、
追熟前に
 ・ 収穫
 ・ 集荷
 ・ 輸送

を行い、
通関後に成熟をスタートさせて食用にさせて
店頭に並べているわけですね。

輸入されるバナナが、「くん蒸」されていることは
ご存知だと思いますが、
これは日本国の植物防疫法に基づいて、
日本入港時に農水省が行う「植物検疫」という検査で、
輸入植物に国内農業に影響をおよぼす可能性がある
特定の病害虫や卵などが付着していないかを調べている
のです。

これは、バナナなどの果物はもちろん、
野菜、穀類、コーヒー生豆、紅茶(生葉)、苗木、
球根、切り花、木材などが対象になっています。

この「植物検疫」という検査で、
特定の病害虫(カイガラムシなど)や病気が発見された場合は、
輸入者は、その植物の
 ・ 廃棄
 ・ 返送
 ・ 消毒

のいずれかを選択することとなり、
輸入者のほとんどは、
当然のように「消毒」での持ち込みを選択し、
消毒の方法の1つに、「くん蒸」があるわけです。

くん蒸は、密閉された倉庫の中で
農薬(殺虫剤)をガス化して害虫を殺すもので、
くん蒸に使用される農薬には、
 ・ 臭化メチル         
   豆類、コーヒー生豆、クリなど
   内部まで浸透、24時間〜48時間
   ラット実験でも甲状腺への影響等が認められている
   毒性が強く、発ガン性が指摘されている

 ・ シアン化水素(青酸ガス) 
   バナナ、グレープフルーツなどの果物や生鮮野菜
   浸透せず揮発性が高いので、
   表面処理に有効で残留がない、といわれているが…

 ・ リン化アルミニウム
   5〜7日間
などがあり、
植物の種類と発見された害虫の種類によって使い分けられますが、
バナナは「シアン化水素(=青酸ガス)」を使い、
ほぼ100%がくん蒸処理されているわけです。

くん蒸を行うにあたっては、
 @ 十分な殺虫効果が得られること
 A 植物に障害が出ないこと
 B 食用とする場合は人間にとって害がないこと

を考慮した上で、
薬量と処理の時間が定められています。

昨年のオーナー様のバナナ画像.jpg
     昨年のバナナオーナー様の画像例

かんきつ類は防カビ剤の
 ・ イマザリル
 ・ オルトフェニルフェノール(OPP)
 ・ チアベンダゾール(TBZ)

などを塗ることで、
カビだらけになるのを防いでいるわけですね。

厚労労働省の検査官は、全国で300人足らずですし、
農水省の防疫検査官は全国で約800人いますが、
効率優先のコンピューター処理のために、
東京や神戸では1%も検査していない有り様で、
ほぼフリーパス状態のようですから、
今後も移入害虫が増えることでしょう。

昨年のオーナー様のバナナ画像2.jpg
     昨年のバナナオーナー様の画像例


「検疫」で思い出されるのは、首里高校事件です。

先週まで、高野連加盟校の特待生問題で
選手不在の大騒ぎになりましたが、
1958年(昭和33年)の夏の甲子園は第40回の記念大会として、
当時の日本の46都道府県代表と共に、
特別にアメリカ合衆国占領下にあった沖縄県の予選大会が開かれ、
そこで優勝した県立首里高校が
戦後初の沖縄代表として甲子園へ招かれたのでした。

当時米軍政府下にあった沖縄は、
車は右側通行でドルを使い、
パスポート(沖縄住民の場合は渡航証明書)と
予防接種検疫証明証を持って、
日本本土を行き来していた時代でした。

日本本土から船や飛行機で那覇港や那覇空港に着くと
パスポートの審査や税関、検疫の検査を受けなければならず、
琉球政府の検疫では
「外国の土は持ち込んではならない」
という規定がありました。

首里高校は大会1回戦で
福井県・敦賀高等学校に健闘むなしく3対0で完敗し、
船で沖縄に戻るのですが、
那覇港を目指して帰路の那覇沖で、
「球児たちが大事に持ち帰った甲子園の土は
 外国の土だから検疫法違反」

と言うことで検疫官に没収され、
那覇港に海中投棄されてしまったのです。

この事件を知って同情した日航スチュワーデスが
「石なら防疫法に引っかからない」
ということで、
甲子園球場周辺の海岸の石を拾い集めて桐の箱に入れて
首里高に寄贈されたのでした。

今から49年前の出来事ですが、
この事件から14年後の1972年(昭和47年)に、
沖縄は本土復帰になるわけです。


厚生労働省の「くん蒸の安全性」における見解では、
「残留農薬基準は、食品衛生法第7条第1項の規定に基づき、
 厚生大臣が公衆衛生の見地から定めるものであり、
 当該農薬の安全性等について食品衛生調査会における
 慎重かつ緻密な調査審議を経ているものであることから、
 残留農薬基準に合う輸入農産物については、
 人の健康を損なうおそれはないものと考えている」

というのですが…
070509ハイビスカス.JPG
       5月9日花野果村のハイビスカス
posted by RIU at 15:52| 沖縄 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | バナナの追熟 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月15日

バナナの“追熟”B

バナナの果房の収穫時期は、人によって様々です。

私は、収穫後おおむね1週間で追熟出来るように、
出来る限り遅く採るように心がけていて、
果実の角の線がなくなり、
パンパンに膨らむ頃に収穫するのが私の主義なのですが、
バナナの果実にまだ線があり、
明らかに角ばっているうちに収穫してしまう人が実に多いのです。もうやだ〜(悲しい顔)

特に、市場にバナナを出してくる農家に早採りする傾向があるようで、
「お客様に最高のバナナを召し上がって戴きたい」
というより、
「すぐに黄色くならずに、売れるまで少しでも長く置いておきたい」
という換金優先の考え方がそうしているように思えるのです。もうやだ〜(悲しい顔)

070515 ボリビアバナナ.JPG

そういうわけで、
収穫するバナナの熟度もマチマチですから、
「追熟期間はどのくらいかexclamation&question
という質問には、
明確な一発回答が見当たらず、
さらに、
 ・ 気温
 ・ 湿度
 ・ 季節
 ・バナナの品種

なども関係しますから、
同じバナナの果房であっても、
これを段切りして
沖縄と北海道では、
追熟期間にも差が出てくるし、
追熟しても黄色くならない品種もありますから、
なかなか答えにくいわけです。

収穫したバナナの果実の追熟を早める方法として、
・ ポリ袋にバナナとリンゴを一緒に入れる
・ 日本酒や焼酎を、果軸の切り口やバナナ全体に霧吹きする

をする人もいます。

また追熟後、
新聞紙に包んで冷蔵庫(野菜室)に入れると、
バナナの果皮は少し黒くなりますが日持ちしますが、
追熟した完熟バナナを新聞紙に包まないで冷蔵庫に入れると、
バナナの果皮は真っ黒になりますから、
注意が必要です。


バナナは熱帯原産の果実ですから寒さに弱く
「13℃以下になると低温障害を受ける」
といわれ、
果皮の色がきれいな黄色にはならず、
少しくすんだ色になってしまいますから、
晩秋から初春にかけては寒冷地域でのバナナの追熟は
上手く行かないことがあるかもしれません。

そういえば先月(4月)中旬に、
札幌市の石川様にお送りしたボリビアバナナが、
追熟中に「しなびた」という連絡がありましたが、
これは、低温障害か、
バナナゾウムシ騒動の影響かもしれませんね。もうやだ〜(悲しい顔)


070515 ミニバナナ園.JPG
      今朝の自宅のミニバナナ園の様子
posted by RIU at 11:39| 沖縄 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | バナナの追熟 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月14日

バナナの“追熟”A

沖縄産バナナを“追熟”させるには、
バナナの果実をヒモで吊るすのですが、
今日は、「吊るし方」について書きたいと思います。

「なぜ、吊るすのかexclamation&question
というと、
バナナを置いて追熟させると果実が軟らかくなることで、
バナナの接地面が圧迫されて傷むので吊るすわけです。

ヒモの結び方3−1.JPG

吊るすルールは特になく、
バナナの果軸にヒモをかけて鴨居などに直接、
あるいはSカンなどを利用して、
完熟するまで吊るすだけですが、
果実にヒモを巻くと果実が圧迫されて傷みますから
これだけは避けなければいけませんね。

果軸にヒモを巻く方法やヒモの種類などはまったく自由で、
吊るす場所やヒモの選定、結び方、つるし方などは、
それぞれの創作のセンスが表れるところです。

ただ、追熟させる場所は、日陰で行うことが大事です。

ヒモの結び方3−2.JPG

追熟には、
・ 温度
・ 湿度
・ バナナの果実の熟度
などが密接に関連しますが、
温度が高いと、熟成が一気に進んでしまうのです。

日々の追熟の変化を見なければいけませんから、
台所やリビングルームあたりが
適しているのかもしれませんね。

ヒモの結び方3−3.JPG

以上のように、
“追熟”でのヒモで吊るす方法では、
神経をつかうことはないわけです。


070513ハイビスカス.JPG
      近所のハイビスカス
posted by RIU at 09:32| 沖縄 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | バナナの追熟 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月13日

バナナの“追熟”@

沖縄産バナナは、収穫する時は、まだ緑色の状態で、
“追熟”させて「完熟」させてから食べるのですが、
沖縄では当たり前の光景なので、
今までBLOGに“追熟”については
載せていなかったようですから、
今日は“追熟”についてご紹介したいと思います。

追熟(ついじゅく)というのは、
バナナだけではなく、
メロンやキウイフルーツ、洋ナシなどにも言えることですが、
「収穫後に一定期間置くことで、
  甘さを増したり果肉をやわらかくする処理」

のことをいうのです。

動けない植物が、
果実の果肉に糖分や脂肪を蓄積することで、
鳥やサルなどの動物が必要とする栄養素を提供して
エサにさせることで種を移動する“種子散布”という方法で、
自然界では、動物と植物が不思議な共生が出来ている
のですが、
果肉に糖分を蓄積する植物では、
@ 木成り完熟で糖分が甘みを感じる果実
A 収穫時には糖分がデンプンなどの状態で甘みを感じない果実
があって、
バナナなどのAの植物では、
果肉に充分な栄養素が蓄積して、種子も成熟している段階で、
果実の成熟がいったん休止し、
その後ある程度の時間を置いてから
デンプンを糖分に分解することで
果肉の軟化や
動物の誘引物質である芳香物質の生成などが起こるのです。

これは「後熟(こうじゅく=追熟)」という現象で、
種子散布動物に果実が一時に多量に供給されるのではなく、
時間をかけて熟した果実を提供したり、
成熟した果実を提供する時期を調節したりする、
頭脳的戦略が植物にあるわけです。

植物からすれば、種子散布動物は、
子孫繁栄のための配達要員でしかないわけですね。

後熟が起きる前の段階で収穫した緑色のバナナは、
糖分がないために果実には害虫がつきません。

「後熟(こうじゅく)」現象でデンプンが糖分に変化し、
熟れるほど、甘みが増大し、
果皮に黒い斑点が出来始めても、
「SUGER SPOT」というくらい甘くなってゆくわけです。


5月1日に収穫した台湾バナナの“追熟”画像をご覧下さい。

最初の果房全体画像を撮り忘れましたが、
全部で7段ありました。

これを段切りして、ヒモで吊るして“追熟”させます。

画像は7段のうち、上から2段目(17本)の果実です。

070502 台湾バナナ.JPG
      5月2日の台湾バナナ

070503台湾バナナ.JPG
  5月3日の台湾バナナ、うっすらと黄緑色がかってきました

070504台湾バナナ.JPG
  5月4日の台湾バナナ、少し黄色くなりかけています

070505台湾バナナ2−1.JPG
  5月5日の台湾バナナ、
     黄色くなってきましたが、まだ緑っぽいですね

070505台湾バナナ2−2.JPG
      5月5日の台湾バナナ

070506台湾バナナ5−1.JPG
    5月6日の台湾バナナ、まだ少し緑っぽいです

070506台湾バナナ5−2.JPG
    5月6日の台湾バナナ、反対側の画像です

070506台湾バナナ5−3.JPG
 5月6日の台湾バナナ、
 端を力を入れずに持ち上げると、軸の部分が自然に折れました

070506台湾バナナ5−4.JPG
 5月6日の台湾バナナ、
 これを上に持ち上げて軸から切り離します

070506台湾バナナ5−5.JPG
 5月6日の台湾バナナ、少し硬めでしたが、熟していましたexclamation
posted by RIU at 18:00| 沖縄 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | バナナの追熟 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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